「KY」や「JK」といった言葉を聞いたことはあるだろうか。英語のようなこの表現は、実は若者の間でよく使われている「空気読めない」と「女子高生」という意味のローマ字略語だ。若者が使う独特なことばがある国はきっと多い。 新しい言葉を作り上げ、ことばを個性豊かに出来るのは若者の特権だ。日本語のように、ひとつの国(日本)だけで使われ、日本語イコール日本という言語の公式を持っている国は多くない。なので日本語は日本のとても重要な文化であり、特徴なのだ。だが時は過ぎ、すべてが変わるのが自然なように言語も変わっていく。そして日本語もその例外ではない。日々新しい単語、表現が現れる。その中には、一時的な流行で終わるものもあれば、日常会話に定着するものもある。そして特に、変化や流行に敏感で、融通のきく若者たちによく使われる。このようなものを簡単に「若者ことば」という。まったく知らなかったら、若者とのコミュニケーションができないといえるほど、若者ことばの影響力は大きい。若者ことばのせいで日本語がおかしくなってきているという指摘もあるが、その影響力から見て、若者ことばはもうすでに日本語の一部となっているといえるのかもしれない。
では、若者ことばとは何なのか。それは簡単に言えば、十代の中高生から多くの二十代の間で使われる変形した日本語とでもいえるだろうか。その中には、芸能人のおかげで広まった流行語、長い表現の略語、外国語と混じった造語、本来の意味が変わってしまった言葉まで種類は様々だ。有名な例としては、なにかを強意したり、「すごく」という意味を持つ「めっちゃ」。これは方言の「滅茶苦茶」からきている。「超」は、新幹線の超特急などで強調のために使われていたものを引用された例だ。ほかの使い方から変わった類だ。だが、ほとんどの若者ことばは本来あった言葉の略語の場合が多い。「めっちゃ」や「超」など一時的な流行語ではなく、すでに日本語の一部とまでなったことばは、理解の問題にはならない。これは極一部の例であり、もっと色々な意味や形を持った言葉が毎日繰り出されている。
新しい造語や若者ことばが以前よりもっと速いスピードで生まれている理由は、やはり日本の若者の携帯使用から来るのだと思う。特に、若者のメール受送信は電子メールというより電子会話に近い。なので、ある程度、即答する必要がある。でないと、話が途切れたり、相手に無愛想な印象を残し誤解されたりもする。又、絵文字や顔文字が多く使われるようになった。文字だけの会話は硬く見えがちで、多分そのようなものを和らげたり、面白さを足すためなのだろう。 絵文字の使用によって表現力に個性を加えることができる反面、高額使用料のせいで文字の数を意識的に限ってしまう。なのでインパクトを残せる上に、より短く、言いたいことを表現できる言葉を若者たちはずっと求めてきたのかもしれない。
例えば冒頭に述べたKY。この表現は2007年に流行語大賞の候補にもなった。「空気を読めない」をローマ字に書き、頭等の二文字を取りだして、KY。政治界でも使われたこの表現は、女子高生のメールやり取りで広まり、時代にKYという略語形も出てきたと言われている。そして徐々にメールではなく、日常会話にも形容詞として使われるようになった。今では、ゲストを迎えるトーク番組などでも、「この中で一番KYな人は?」という風に、KYに関する質問や話を自然にしたりする。このようにして普通に使われていた表現が、ネット上で変形し、その変形型を実会話で使う、というステップを踏んでいることばが増え、違和感なしで行われている。このような例で、「女子高生」を「JK」と言ったり、主に Information Technology として知られている「IT」を「アイスを食べる」の代わりに使われたりする。
頭等の文字だけを取って、単語のようにする略語は日本以外の色々な国で作られている。代表的なのはアメリカだ。日本のように携帯電話でするメールではなく、インスタントメッセンジャーなどのプログラムでチャットをするのが定番である。ありふれた表現をわざわざ全文字打つのが面倒なのか、毎日使われるような挨拶言葉や感嘆詞で、代表的な若者ことばが出てきた。例えば、「また今度話そう」という意味の「talk to you later」は四つの単語の頭等のアルファベットを取り、「ttyl」と使われるようになった。「すぐ戻るよ(ちょっと待ってて)」という意味の「be right back」は「brb」。もしくは「you」や「to」を読むとき同じ発音の「u」や「2」に入れ替えるなど、日本語に比べてはかなり単純な若者ことばが使われている。
面白いことは、この若者ことばの文化を、日本では日々多くの大人たちが研究しているということだろうか。最新の若者ことばは漢字の変換システムに含まれていないので、初めてケータイ電話やパソコンで打つときは、妙な漢字が混じったり多少面倒になることもある。なので毎年、変換ソフトに色々な変化を含めているらしい。その上、ある記事によると、なんと「KY」などのローマ字略語を集めた辞書も発売されたという(注1)。その名も「KY式日本語」。このように若者ことばはもうすでに、若者同士の繋がりを意識した彼らだけの言葉の使用領域超え、日本語の一部として研究対象ともなっている。今でも昔と同様、日本語を乱すと言われ、色々指摘されている若者ことばだが、その増殖力と影響力は誰もが認めていると思う。これはこれで若者たちの個性を生かしたコミュニケーション法で、ある意味、文化なのだ。
参考文献:
注1 「ローマ字略語ミニ辞典を出版」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20080205ur02.htm
2008年2月23日確認
関連ブログ:
sayじいのお話というブログのポストを読んで、やはり若者ことばを日本語の一部と認めるには、色々悲しい現実が見えるなと思いました。そしてJKが女子高生ではなく、「冗談は顔だけにしろ」という意味だったという事を知りました。
今夜の気分というブログでは、若者ことばのように相手の真意を理解するような努力を必要とする、共通言語の存在は大事だと述べています。このような見方もあるのかとうなずきながら読んでしまいました。
2008年2月25日月曜日
若者ことば、どこまで受け入れられますか?
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4 件のコメント:
アメリカの若者ことばについての話は非常におもしろいですね。使用するのは、主に高校生ですか。
去年このクラスをとった学生で韓国語が乱れてきていることについて発表をした人がいました。ネットで流行していることばに関する話はなかったのですが、韓国でもKYやIT、ttylなどのことばは流行しているのですか。
スイさんのディスカッションの時から自分の短い言葉も作りたくなりました!
友だちと共同して、適当な長い略語を作れば、やっぱり混乱を作る。「LGTL」、"Let's Go To Lindy's," 「AIWLWTF」、"And I was like, WTF?" などをメッセージや日常の会話に使うと、ともだちはやっぱりすぐ解任する!
帰り道、思い出しました。おにぎりまんから貸していただいて見たテレビドラマ『イケメンパラダイス』の中で出てくる若者ことばとは、
「ガンブーで、ギッてるくせに、ちょづくんじゃねーよ」
でした。「顔面(がんめん)不細工(ぶさいく)で、脂(あぶら)ぎってるくせに、調子(ちょうし)にのるんじゃねー」ということらしいです。きつい内容の文ですよね。こんな言い方されたら、私なら、ふつうの文でも、若者ことばの文でもショックを受けてしまうと思います。
私sayじい、若者言葉を孫の学生から教えられて多少理解できたつもりでしたが、その奥の深さに驚きました、特に(たこ焼きさん)の「ガンブーでギッてるくせに、ちょづくんじゃねーよ」には、韓国語かヴェトナムの言葉かと一瞬戸惑いました。時々皆さんのブログを訪問させていただきます。sayじい(八十五歳)
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