2010年3月11日木曜日

ルビアちゃん

ルビアちゃんは真っ白さに目覚めました。自分には、静かな「おはようございます」。真っ白さに慣れたはずなのに、目をこしたり細めたりしながら、よろよろテーブルに歩きました。そのテーブルのガラスの面には、色とりどりの新鮮なフルーツが並んでありました。ルビアちゃんは林檎一個と一握りのブルーベリーを選びました。今日の色は赤と濃い青色にしようと思って、そうこの日を始めたのです。

林檎とブルーベリーに合う、今日の色に一致する服が当然なものです。果汁一滴を落とさずに朝ごはんを済まして、戸棚に向かいました。戸棚といっても、宴会場くらいの広い部屋です。普通の人はこんなに服が溢れていることを見るだけで疲れるのではないでしょうか。とても凝ったセンスのルビアちゃんなら、「もう、色とか切地の種類なんて、これじゃやっぱり足りないなぁ」とよく思うようになってきました。多少二時間を経て、ついに末広のような紅色のワンピースに加えて群青色の高級なアクセサリーを身につけました。最後には、ハイヒールを履いて、カラコロとマーブルの床を歩き渡って出ました。

次は、ルビアちゃんが絵画の位置を正すことです。一つずつ並行させます。終わると、棚にある宝物を並べるのです。部屋の全てが心に満たしたら、ルビアちゃんはようやく休みに座れます。鏡に対する椅子に座って、それから日暮れまでじっとそのままで、ひたすら自分の姿と部屋の素敵な様子を眺めます。友達という意味が何とか分かるようになったとしたら、ルビアちゃんはその鏡だけが友達といえるのでしょう。ルビアちゃんは寝るときも、鏡の中のイメージが心に刻まれたまま、そんな夢を見ます。夢を見ないときは頭の中も真っ白。

こういう日々の中では、おかしい事が起こりました。或る日、ルビアちゃんは髪の毛束が見事に横面を伝うことに気が付いたら、鏡が裏側から粉々に砕かれました。驚いたルビアちゃんは椅子から落ちて、泥だらけの痩せた顔との差し向かいでした。何も言えずに見上げて、破られた鏡の真ん中の穴をのぞいたら、信じられないほどの光景を見つけました。ルビアちゃんの足に倒れていた泥だらけの顔の男みたいな大勢が雨に降られて、じっとルビアちゃんを見つめていました。どうしようか分からず、鏡の向こうの不思議な世界に惹かれました。

大勢に突っ込んで走っていきました。走りに走って、足が崩れそうになったまで走った。これまで完璧しか知らなかったルビアちゃんはやっと倒れてしまって、泥に転がり回りました。泥を塊にしたりしました。あの大勢がじっと見ていたのは、完璧の標本となったルビアちゃん。ちょっと帰る気があったが、ちょっと泥に溺れる気もありました。誰かの手がルビアちゃんの肩をしっかりと握りました。「自分を美しくしてきたのはこんな感じのためだろうかな」。

1 件のコメント:

たこ焼き さんのコメント...

ルピアちゃんは幼稚園に通うぐらいの年の男の子(女の子のような名前だけど、男の子)。ルピアちゃんのお母さんは潔癖性で、服などをよごすとひどく叱られる。ルピアちゃんが一番したいのは、泥だらけになって遊ぶこと。ちょっと自己陶酔的なところがあって、鏡を手放せない。実は、これは筆者の小さい時の自分を、不思議の国のアリス的に仕立てたもの。
どうでしょう、この解釈は。